刑事裁判の手続きの流れ(争いがない事件の場合)
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第一回公判(争いがない事件の場合)
冒頭手続
5分ほど
1.裁判官による人定質問
氏名・住所・本籍・職業をあなたの大切な人の言葉で確認し、人違いでないか確認する手続です。
2.検察官による起訴状朗読
裁判で裁きを求める犯罪事実(公訴事実)を朗読し、適用される刑法等の条文を指摘します。
3.裁判官による黙秘権の告知
あなたの大切な人に対し、裁判で問われても言いたくないことは言わなくて良い権利があることを告知されます。それとともに、裁判という場での発言は証拠になるので、発言をする際は慎重に発言をするよう示唆があります。
4.罪状認否
検察官の朗読した公訴事実に間違いがないか確認します。
→争いがない事件の場合には「はい」と答えることになります。
→弁護人の意見も求められます。
証拠調べ手続
40分ほど
裁判は厳格な手続きですので、あなたの大切な人が犯罪をしたかどうかは、必ず証拠で認定されます。
1.検察官による冒頭陳述
検察官が証拠によって証明する事実について犯罪ストーリー(犯行に至る経緯、犯行状況、犯行後の状況、前科状況等)について陳述します。
2.検察官による証拠調べ請求
甲号証(あなたの大切な人の供述証拠以外の証拠)
例:犯行現場の写真を撮影した実況見分調書、被害者の供述証拠、目撃者の供述証拠、犯人の残した遺留品等乙号証(あなたの大切な人の供述証拠)
→争いがない事件の場合には弁護人が証拠請求に「同意」します。これにより、裁判官は初めて事件の記録を目にすることになります。
3.弁護人による証拠調べ請求
弁号証(弁護人が提出した証拠)
→争いがない場合、検察官が証拠請求に「同意」することにより、裁判官は初めて資料を目にすることになります。
A:犯罪の確認
B:犯罪を起こした理由
C:どうすれば犯罪を防げたか
D:今後の罪の償いを顕在化させるための証拠調べを求めます。
(a)被害感情が癒されていること
例:被害者との間の示談書、被害弁護金の振込証明書
(b)犯罪の原因が除去されていること
例:共犯者との関係切断、携帯電話の解約証明書、転出・転入届け(引っ越し)
(c)情状証人
あなたが法廷であなたの大切な人を今後二度と同じ様な犯罪を起こさせない、監督をすると誓約していただきます。
主尋問は弁護人から・反対尋問は検察官から。補充尋問は裁判官から行われます。
ここが情状弁護の柱になります。
4.被告人質問
A:犯罪の確認
B:犯罪を起こした理由
C:どうすれば犯罪を防げたか
D:今後の罪の償い
→あなたの大切な人の言葉で犯罪を犯したことに対し、向き合い、反省し、二度と同じ過ちを繰り返さない誓いを立てているか、裁判官の面前で述べてもらいます。
主質問は弁護人から・反対質問は検察官から。補充質問は裁判官から行われます。
ここが情状弁護の柱になります。
意見
1.検察官の論告・求刑
犯罪事実に照らし、検察官の意見と相応な刑の意見が行われます。
例:求刑懲役2年
2.弁護人の弁論
犯罪状況、逮捕後の環境調整に照らし、相応な期間での服役で足りるとの意見ないし刑務所内でなく社会での更生が望ましいとの執行猶予が付されるよう意見いたします。
例:今回に限り執行猶予が相当です。
結審
審理が終わります。
次回の判決期日を決め、裁判で顕在化された証拠及び検察官・弁護人から提出された証拠から、犯罪事実の認定及び量刑(刑の重さ)を決めます。
第二回公判期日(判決期日)
執行猶予付き判決の場合
裁判官から判決主文及び理由の言い渡しがあります。
例:主文 被告人を懲役2年。執行猶予3年に処する。
執行猶予判決が下された場合、あなたの大切な人は釈放され、今までと同じ様に社会生活を営むことができます。
執行猶予中に犯罪を犯し、再び裁判になった場合には猶予されていた懲役2年が取り消され、新たに言い渡される刑(例:窃盗。懲役1年)に懲役2年が加算され3年間刑務所に行くことになりますので、十分に注意が必要になります。
実刑判決の場合
裁判官から判決主文及び理由の言い渡しがあります。
例:主文 被告人を懲役1年に処する。
あなたの大切な人は判決言渡日翌日から14日以内に控訴しなければ、判決内容が確定し刑務所に収監されます。
判決言渡日に保釈中の場合、実刑判決言渡により保釈が取消され、拘置所に即収監されます。
争いがない事件について(弁護人としてのスタンス)
あなたの大切な人に対するケア
裁判は、犯罪を犯してしまったあなたの大切な人の罪を精算する場です。裁判までの間に、
A:犯罪の確認
B:犯罪を起こした理由
C:どうすれば犯罪を防げたか
D:今後の罪の償い
を考え、二度と犯罪を犯さない環境(更生環境)を構築し、裁判に臨むことが不可欠です。
犯罪は、巻き込まれることもあれば、突発的に行ってしまうもの、軽率な考えのもと行うことは様々です。
しかし、人生で犯罪者として解決が図られないまま業を負い生きていくことはとても大変なことです。
争いのない事件の弁護につかせていただいた場合には、あなたと協力してあなたの大切な人に罪に気付かせ、反省とともに更生環境構築に努め、裁判で罪の精算を表明し、あなたの大切な人が人生の再スタートを踏み出すお力添えをさせていただきたいと思います。
例えば保釈の申請を行い、裁判で判決が下されるまでの間に、裁判所に就労状況等が安定している証拠の収集・提出を行い、更生環境が整っていることをアピールします。
被害者の方に対するケア
また、被害者を生んでしまった事件については、あなたと協力して誠意を持って被害者に謝罪の機会を持てるよう尽力します。
被害者の方は、事件の恐怖及び警察での事件に必要な捜査の際に再度嫌な思い出を思い起こす心労にさらされます。事件の精算がなされない限り、ずっと苦しみ続けることになります。
弁護人として、被害者の方にも示談手続を通じてあなたの大切な人の更生に期待していただき、事件を長く心に留め置く心理的不安から一日も早く解放させていただけるよう、被害者の方のケアにも配慮いたします。